抵当権抹消の書類

本日は不動産登記に関する内容です。
銀行等に対して住宅ローンの返済が終わった場合に、その銀行から「抵当権抹消登記」に関する書類を預かることがあります。
この「抵当権抹消登記」について、簡単に解説します。
抵当権は自動的には消えない
金融機関でローンを組んで不動産を購入する場合に、その不動産を担保にする(担保権を設定し、その登記をする)ことがあると思います。
担保権にはさまざまな種類がありますが、一般の住宅に設定する担保権として多いのが「抵当権」です。
ローンが残っている間は不動産の登記記録を見ると「権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)」という部分にその貸し付けた金融機関(銀行や保証会社など)を抵当権者とする抵当権設定登記がされています。
ローンの返済が終わると、その金融機関の債権は消滅するので、それに伴って抵当権も消滅することになります。
しかし、基本的に不動産登記は事実関係に伴って内容が自動で変更されることはないので、その消滅した抵当権についても「抵当権抹消登記」を申請しなければ記録上は残ったままとなります。
(登記記録について、こちらのページでも解説しています。)
「抵当権抹消登記」に必要なものは、主に3種類
上記のとおり、消滅した抵当権を不動産登記記録から抹消するには「抵当権抹消登記」を別途申請する必要があります。
「抵当権抹消登記」に必要な書類は、その抵当権を設定した金融機関が準備し、ローン完済時に債務者に対して渡されることが多いです。
具体的には、
①抵当権弁済証書
②登記識別情報や登記済証
③登記委任状
の3種類の書類です。
①「抵当権弁済証書」は、抵当権が消滅した事実を証明した書類
「抵当権弁済証書」は、その抵当権の原因となった金銭債権が弁済により消滅し、抵当権が消滅した事実を証明した書類になります。
(場合によっては、「抵当権解除証書」や「抵当権放棄証書」などといった名目で発行されることがあります。)
抵当権者である金融機関が発行する書類で、抵当権が消滅した事実の他に、その抵当権の設定登記がされた時の受付番号や設定された不動産なども記載されています。
(詳細な内容については後から当事者が記入できるような形式になっていることもあります。)
②「登記識別情報や登記済証」は抵当権設定登記時に法務局から発行された書類
「登記識別情報や登記済証」については、以前のコラムでも解説しています。⇒こちらのページへ
抵当権を設定し、登記をした際に法務局から抵当権者である金融機関に対して発行されたものです。
「抵当権抹消登記」の申請時に提出することで、法務局は権利を抹消される側の抵当権者が申請に関与していることを確認します。
③「登記委任状」は抵当権者である金融機関が登記申請を委任する書類
「登記委任状」は、抵当権者である金融機関が「抵当権抹消登記」の申請を委任する書類です。
金融機関は通常は「抵当権抹消登記」の直接の申請者とならずに、上記①、②の書類と併せて債務者に渡します。
債務者が司法書士に依頼して登記申請する
金融機関から上記①~③の書類の書類を渡された債務者が司法書士に依頼し、「抵当権抹消登記」を申請します。
「抵当権抹消登記」の申請者は不動産の所有者と抵当権者である金融機関になります。
司法書士は③に加えて、不動産の所有者からの登記委任状も別途預かって法務局に提出します。
つまり、「抵当権抹消登記」の申請者双方から委任を受けた司法書士が代理人となって登記申請をすることになります。
抹消された登記記録上の抵当権は下線がされる
「抵当権抹消登記」が完了すると、抹消された抵当権は登記記録上で確認できなくなるわけではなく、下記のようになります。
(抵当権抹消登記前のイメージ)
権利部乙区 (所有権以外の権利に関する事項) |
1 抵当権設定 |
(抵当権抹消登記後のイメージ)
権利部乙区 (所有権以外の権利に関する事項) |
1 抵当権設定 |
2 1番抵当権抹消 |
上図のように順位番号1番で設定されていた抵当権に対し、抵当権抹消登記申請が完了すると下図のようになります。
1番より後の番号(下図では2番)で抵当権が抹消された旨が記載され、抹消された1番抵当権には下線がされます。
抵当権抹消登記のご依頼は北花田司法書士事務所へ
消滅した抵当権について「抵当権抹消登記」を申請しなければ登記記録上は残ったままとなるのは上記で説明したとおりです。
ローン完済後に金融機関から渡された書類をそのままにして、登記申請をし忘れているケースも時折見受けられます。
当事務所にご依頼頂けましたら速やかに対応させて頂きます。
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