「成年後見制度」
について
ここでは「後見業務」の中でも近年、特に一般化してきた「成年後見制度」に関するものについて説明します。
「成年後見制度」は、認知症や統合失調症等の精神的な障害によって判断力が低下した方が健やかな生活をおくれるようにするために、そのような方の財産や法的権利を保護する制度です。
この制度を活用するには、家庭裁判所への申し立てを行う必要があります。
司法書士はその申立書の作成を行ったり、制度の当事者(後述の成年後見人、任意後見人など)として判断力が低下した方を直接支援するような業務を行います。
成年後見制度は大まかに「法定後見制度」と「任意後見制度」に分けることができます。
法定後見制度
1.法定後見申し立て
法定後見制度は、認知症や統合失調症等の精神的な障害によって判断力が低下した本人について、家庭裁判所が申立人の申し立てに基づき、後見開始決定を行って手続きが開始されるものです。
申立人としては主として本人、配偶者、四親等内の親族等などが挙げられます。
- 四親等内の親族
自分を起点として両親、祖父母、兄弟姉妹、おじおば、いとこ、甥姪、子、孫等のかなり広い家族が含まれます。具体的な範囲をお知りになりたい方は当事務所までご連絡下さい。
2.申し立て後
申立人の申し立てに基づき、家庭裁判所は認知症や統合失調症等の精神的な障害によって判断力が低下した本人についての面談や調査を行い、後見開始の審判を行います。
後見開始の審判が確定すると本人の代理や支援をする者(=成年後見人等)が選任され、成年後見人等は本人の財産管理や身上監護を行って本人(=成年「被」後見人等)の生活や法的権利を保護します。
成年後見人等は被後見人等のためにした活動の報告を定期的に家庭裁判所に報告する義務があります。
<成年後見人等が行う財産管理の一例>
- 認知症の本人(=成年被後見人)の預貯金が悪意のある親族に使い込まれないように管理する。
- 成年被後見人が土地を売却するに際し、不当な契約ではないかどうかを判断し、本人に代わり買主と売買契約を締結する。
- 夫が亡くなり、妻である成年被後見人が相続人となった。本人に代わり他の相続人と遺産分割協議をする。
<成年後見人等が行う身上監護の一例>
- 成年被後見人が寝たきりなので、有料老人ホームへの入居契約を行う。
(食事の世話をすることや介護等までは含まれない。) - 成年被後見人の怪我がよくなってきたので、それまでの介護サービス契約を見直す。
任意後見制度
1.任意後見契約
任意後見制度では、本人が将来の代理人(=任意後見受任者)と公正証書により任意後見契約を締結します。
この契約には、将来本人が認知症等によって判断力が低下した場合に、任意後見受任者が本人の生活や権利を保護するために、どのような事務を受任するか等が定められています。
実際に本人の判断力が低下してきたときは、申し立てにより家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、任意後見受任者は任意後見人となって契約に定められた事務を行い、任意後見監督人はその事務を監督します。
2.申し立て後
申し立てに基づいて審判が行われ、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから任意後見契約の効力が発生します。
任意後見制度においては、任意後見人は契約に定められた事務の活動について報告を監督人に提出する必要があります。
⇒法定後見制度を確認
北花田司法書士事務所にお任せ下さい
成年後見制度はこの高齢社会においては重要な制度であり、これからもっと活用されていく可能性があります。
しかし、その手続きにおいては家庭裁判所への申し立て、後見人等としての活動の報告などのわずらわしい書類の作成などが必要になります。
司法書士に依頼することでスムーズに手続きを進めることができ、成年被後見人等の権利を保護し、周囲の家族の負担も減らすことができるでしょう。
北花田司法書士事務所は事務員ではなく、司法書士が直接親身に対応し、家庭裁判所への成年後見申し立てや任意後見契約案の作成等サポートいたします。
後見業務は、個々の案件ごとに権利を保護する対象の本人の判断能力が違いますので、適切な対応方法も変わります。
本人及び周囲のご家族としっかり打ち合わせさせて頂き、手続きを進めさせて頂きます。